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2008年12月30日 (火)

良いものとは?

 文春新書の「昭和陸海軍の失敗」を読んだ。その中で、日米の魚雷についての議論が参考になったので、忘れないうちにメモしておく。まず、日本海軍の魚雷は、第二次大戦で世界に誇る大発明の「酸素魚雷」である。どの国も
  「魚雷の推進用に空気でなく酸素を使えば効率が良い」
と言う考えはあった。しかし、実際に実用化したのは日本だけである。この結果、4万メートルと言う、長距離射程を実現している。この射程は、アメリカの魚雷の数倍であった。つまりカタログ値では、アメリカを凌駕していた。しかしながら、現場での取り扱いも難しく、生産量もあまり伸びなかった。

 一方、第二次大戦中にアメリカ軍の不発魚雷を捕獲し、日本の技術士官が調べた話しがある。この魚雷は、以下に示すように生産システムがしっかりしていた。
  『部品がすべてプラスティックのケースにはめ込めば簡単に組み立てられる構造になっていた。これならば大量生産が利き、扱いもずっと簡単です。   
  また大量生産を可能にするには、部品が高い精度で均質に作られていないといけない。日本のジャイロなどは職人さんがひとつひとつ削りだしているのに対し、米国製は一体成型で打ち出して作るから品質にばらつきがなく、大量生産が可能だったそうです。』

 このように、良いというものは、生産システムまで考えないといけない。もっとも、アメリカ海軍の魚雷は、開戦当時は信管の不良が多く、不発が相次いだので、これだけでも不良品の烙印を押されてしまった。

 但し、アメリカの立派な所は、魚雷の不良を2年程度で克服したことである。信賞必罰を実行した、アメリカと言う国と、無能司令官を残した日本の違いが、ここにもある。

昭和陸海軍の失敗―彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか (文春新書) 昭和陸海軍の失敗―彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか (文春新書)

著者:半藤 一利,秦 郁彦,平間 洋一,保阪 正康,黒野 耐,戸高 一成,戸部 良一,福田 和也
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