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2009年11月 8日 (日)

設計戦線の最先端

 設計者の立場と言うか、悩みを示す興味深い話を思い出したので、忘れないうちに書いておく。たし、文春文庫の「堀栄三著:大本営参謀の情報戦記 情報なき国家の悲劇」の一節だったと思うが、ある戦車の設計者から、某国の戦車の情報が欲しい、という依頼を受けた時の対応だった。
 そのため、

 「戦車のある部分の厚みを知りたい。それだけわかれば後は何とかなる。」

と言う依頼であった。
 確かに、戦車に使う鋼材は、最先端の物であり、お互いに同じ物を使うであろう。そうすると違いは、どれだけの厚みで強度と重さのトレードオフに決着を付けるかである。特に正面で一番強度を持たせるべきところは、どこかと言うことは、設計者なら誰もが同じように考える部分である。
 そこで、一つの厚みが決まれば全体が想像できると言うのは、十分ある話しである。言い換えれば、設計者が悩むのは、そのようなトレードオフのある仕様を何処に決めるかである。このような情報を、入手すれば設計は自然に流れていく。
 このように技術が安定している場合には、誰が作っても答えが同じようになる。そこでどの数値で決断するかが要点となる。
 なお、この本では、この値を得るために、絶対的な寸法感覚を得る訓練も描いてある。これもスキル訓練として重要な話しである。

大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫) 大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)

著者:堀 栄三
販売元:文藝春秋
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