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2013年8月27日 (火)

「職業としての政治」を読んで

 岩波文庫版の「職業としての政治」を一通り読み終わった。政治家の必要資質や、倫理に関する考え方は、現在でも通用すると思うし、政治支配の正当性を、伝統、個人のカリスマそして合法性に3分割した点も、政治の理解深めるためには、役に立つと思う。
 しかしこの本の読み方は、ヴェーバーの社会科学研究の方法論を実践例として捉えればもっと得るものが大きいと思う。いわゆる、「客観性」の本に書いている内容が、この本では見事に実践されている。まず、学問研究者の姿勢として、「政治のあるべき姿」を描くのではなく、批判的に現状を理解する。ここで批判的と言うのは、哲学的に厳密な思考と言う意味であり、何でもかんでも反対という意味の批判ではない。
 次に、『理念型』を見出すため、色々な社会を、歴史的に見ながら比較することで、例えばイギリスでは、議会制民主主義が成立したが、アメリカでは大統領に権限が集中した、などの比較検討から、「政治的指導者」の「理念型」を導き出している。このような比較研究と、因果関係の説明は、論理的な説明の仕方として、しっかり学ぶべきものである。特にドイツの官僚制度と、アメリカの官僚制度の鋭い比較は、今の日本の制度を見直すためにも参考になる。
 なおこの本は1919年の講演であり、第一次大戦で敗戦した直後のドイツ、しかもソビエト革命成立直後のドイツでの講演である。その時代の学生が、一部共産主義にかぶれて、革命支持などの走る傾向もあった。そのような時代での講演と言うことを踏まえて、読むことで別の発見もある。
 もう一つ言えば、ヴェーバーは、政治を天職とする、情熱と判断力を持った指導者を求める形で講演を終えている。さて、この10年後の1930年には、ナチス党が第2党に躍り出た。このような時代の流れを、きちんと見るべきであろう。

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