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2013年12月 5日 (木)

山本七平の見直し

 本棚にあった、山本七平著:「常識」の研究:文春文庫を読んでいる。1981年7月の著作だが、現在の色々な問題と通じるものがある。確かに山本七平流の議論には、強引なところもあるが、直観的に本質を突く力には、現在にも通じるものが大きいと思う。

 今回は、この中でも「教科書批判:p144~p147」を考えて見たい。ここで言っていることは、日本の中学校社会科教科書で、

一応これを旧新約聖書に限定しても、あの膨大にしてかつ複雑な書の内容が何と七十字に要約されているのである。さらに驚くことには、この文章を読むと何となくキリスト教が解ったような気持ちになるということである。

 だが、その語いを一つ一つ検討し、筆者に「この言葉は具体的に何を意味するのか」と質問していったら、書いた御本人が何一つ答えられないのではないかと思った。

と言う状況である。つまり、何となく読めて解ったような気になるが、結局は何一つわかっていない人間を作る。この解ったような気になることが、色々な問題を引き起こしている。

 この本では色々な例があるが、一つイスラエルのペギン内閣の「宗教的信条に基づく女性の良心的徴兵拒否を認める法案」に関して、進歩派の労働とが反対した、事例などが典型的なモノであろう。日本の簡単な図式では、進歩派=反戦で「良心的徴兵拒否を認める」と言う発想になる。しかし、この徴兵拒否は、ユダヤ教の戒律と関連しているので、保守派が賛成、進歩派が反対という図式となる。一歩相手の宗教まで踏み込んで理解しないといけないのに、簡単な図式で理解したつもりになると、本質を見失うという話である。

 実は現在の、日本では、このような『教科書的情報』が多く在り、『解ったつもり』で意見を言ったり、行動したりして、トラブルが起こっているように思う。

 或る技術者が言ったことを思い出した。

昔は、教科書通りに物を作っても動かなかった。そこで工夫して皆技術を自分のモノとした。今は、教科書通りで90%は動く。そこでトラブルが発生した時の対応力が無くなっている。

この様に教科書の弱点を補う、実体験の機会が少なくなったのが、現在の混乱の一つの理由と思う。

 なお、山本七平流の解決は、貞永式目を寺子屋で、字の練習で何度も習った、江戸時代の知恵を提案している。またユダヤ教の信者は、子供の時から聖書を読み聞かせている。このように一つの書物を深く読み、色々な見方を身に着けることが、このような教科書溢れの解決の一つの案だと思う。

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