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2014年4月17日 (木)

良いレポートとは?

 昨日、「良い論文とは?」と書いたが、その前にレポートについて、もう少し議論しておくべきだった。私が昔大学で渡された、実験指導書などを見ても、他人のレポートを丸写ししてはいけないなどの、色々な注意がある。そして、現在はもっと良い注意がある。
 これは、阪大の新入生向けの資料である。

http://hdl.handle.net/11094/27153            

 しかし、もう一歩踏み込んだ説明がほしい。そこで、実験結果の扱いにと、その考察について、議論してみたい。私は、ある大学で学外講師として、学生さんプログラミングに関して、演習のお手伝いをした。そこで、課題に関して『考察』を加えて、提出するように指示したが、これが難航した。彼らの主な言い分は、
   「考察に何を書いてよいかわからない?」
である。そこで自分の学生時代を振り返って、考えて見た。確かに、学生実験のレポートで、『考察』については、何を書いてよいか、迷った覚えがある。

 このような時、一つの解決は、学生に、科学というものの在り方と、学生実験の位置づけを、しっかり理解させることである。具体的に言うと、科学の理論は、物理学で言う『理想気体』のように、現実の多様な側面を無視し、理論が成立するに十分な物だけを、考慮していることが多い。しかし、頭の中の理論だけが一人歩きしても、現実の世界と合致しないと困る。そのために実験を行って、検証する。しかしながら、実験結果は、理論値と合わないことは、当然のことである。それでも、理論の確信と理解に役立つ実験を行うのが、学生実験の目的である。
 具体的には、理論通りの値が出ないことは、当然のこととして受け入れる。その上で、どのような理由で、理論値との違いが出たかを『考察』する。誤差を発生させた可能性を、色々列挙し、その影響を考えるのである。この段階で、理論の理想的世界では、考慮しなかった色々な要素の存在に関して、考えることで、理論と現実の適合に関しても、理解していくのである。
 このため、実験ノートやレポートには、実験日時の天候や気温などの環境条件も、記述するように指示されている。つまり、温度が一定でないための影響、湿度の変化による影響等の、理由による誤差を考慮するように、暗黙的に指示しているのである。
 従って、実験時の心得としては、以下のようになる。

  1. どのような結果が出ても、そのまま記録し報告する
  2. 理論と合わない結果に関しては、その理由を考察する

 このような姿勢をきちんと貫くことが、科学者としての出発点である。
ただし、ここで大切なことは、
  「理論に合わない結果に対しては、その理論を活かす形で説明する」
ことが、基本的な姿勢として、教育されるのである。これが、習い性となるので、新しい現象に関しての反発は、大きなものになる。
 そのような反発が大きいからこそ、新規の現象を発表するときには、隙の無い研究姿勢が必要になる。小保方晴子さんを含めて、このような若手の指導をきちんと行えていない、日本の科学教育には、まだ改善の余地があると思う。
 私の考えでは、科学哲学の立場から、上記のことを解りやすく教える必要があると思う。

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