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2014年8月14日 (木)

理研の矛盾(特に神戸地区)と笹井氏の遺志について

 基礎研究と応用研究と言うことで考えると、理研のCDB等の神戸地区は、非常に危ういバランスで成立していることが見えてくる。まず、理研は産総研と違い、文部科学省の傘下である。文部科学省は、経済産業省と違って、大学などを中心に基礎研究重視の体質である。
 しかしながら、理研の神戸地区は、神戸市の再生医療都市の構想などとも絡む、応用研究としての期待も背負っていた。そして、そのための折衝を行って、資金を引き出したのは、故笹井芳樹氏の功績が大きい。このため、笹井氏は種々の政治的PRも敢えて行ってきた。笹井氏自身は、基礎研究者としても、多くの立派な論文を作る力を持っていたが、政治家や企業の求める応用研究の要素も理解し、提案し説得してきた。この一つが、『STAP細胞』である。プレス発表の過剰ともいえる演出も、予算獲得の戦術と見れば納得がいく。
 さて、笹井氏を駆り立てたものが何であったろうか。笹井氏は、若くして京大教授になり、しかもその前後に、同僚の自殺と言う悲劇に接している。このような、抜群の若さの教授などは、いろいろ『出る杭を打つ』攻撃にさらされたであろう。そのような経験から、自分の考える研究者の楽園を、神戸に作ろうと理研に移ったのであろう。その後の彼の行動は、自分の理想の世界を作るため、現実的な動きをきちんとしている。ロマンと算盤のバランスは、革命的管理には必要だが、彼はそれをよく知っていた。
 さて、彼の自殺については、ご遺族もいらっしゃることなので、本来は書くべきではないが、彼の名誉と遺志を考えれば少し書かせていただきたい。まず、マスメディアが言う「エリートのひ弱さ」に関しては、彼の場合はあり得ないと思う。そのようなひ弱な人材なら、政治家や企業家を巻き込んだ、神戸の医療都市推進はできていない。それより前に、京大教授で潰れていたと思う。但し、今回の事態は、彼も見えていなかったと思う。
 実は、私も昔、仕事でトラブルを引き起こした時、「この無理難題を押込めたXXの所で、腹を切れば解放される」と言う悪魔のささやきに取りつかれたことがある。ただその時は、相手の顔が見えたので、このような人と心中はもったいないと、自制が働いた。今回は、ネットなどの不特定多数が相手のため、相手が見えないだけ、プレッシャーも大きかった思う。
 さらにもう一つ、笹井氏の心を砕いた可能性がある。今回の報道には、理研内部からの告発の可能性がある。笹井氏にすれば、「ここまでCDBで働いている皆のため、必死で研究者の楽園をつくろうとした。そのためには、無理してお金も調達した。それを、否定するような人間がいるなら、もう知らない。」と心が折れた可能性もある。このように心が折れた時、「貴方が自殺すれば世論が変わる。」と言う、悪魔の声に取りつかれた可能性がある。

 さて、小保方晴子氏には、巷の噂の笹井氏の遺書は、その通り受け取って行動してほしい。つまり、
 「STAP細胞再現に全力を尽くしてほしい」
である。STAP細胞は、笹井氏の資金調達の有力な一つの武器ではあった。しかし、今では、世論に対して『CDB存続』を、強固に主張する節目は、『STAP細胞再現成功』の瞬間である。100点満点でなくても、論文の一部の現象でもよいから、速やかに再現して、公に公開することで、世論は変わると思う。ゴジラ並みの突破力を示してほしい。
 CDBの方々も、この件を理解して、一点突破を考えて欲しいモノである。
 なお、その後の新しい道に関しては、私の意見では、小保方氏は、もう一度基礎理論の研究をやり直すべきだと思う。実験の世界にとどまらず、理論の世界の方が世の中に、再度認められる可能性は高いと思う。

 最後に、笹井芳樹氏のご冥福を、心よりお祈りしたい。

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コメント

確かに、
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41446
を読む限り、笹井氏は"若手が思いきり活躍できる研究組織"を目指しており、
彼の生前のインタビュー
http://blog.goo.ne.jp/lemon-stoism/e/ec9894e08372b80a584da910a2e4a571
でも、懇談会(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/gijyutu/015/gaiyo/1291947.htm)での有識者(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/gijyutu/015/attach/1292081.htm)としての意見
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/gijyutu/015/gaiyo/1292055.htm
においても"次世代の研究者育成、次世代領域開拓のための自由度"を"検討"するようにと仰られています。
また、ガバナンスの面においては、理研でも、肥大化が指摘されているものの、各研究センターの運用には独立性が存在しうる
http://toyokeizai.net/articles/-/37346?page=3
http://toyokeizai.net/articles/-/37346?page=4
とも考えられます。
今回の事件によって、それが対極側に変わってしまった例えるなら独立性の対極である従属性、"研究室の閉鎖、若手の活躍の場の縮小等、国際競争力の面で厳しい状況"となりうる状況に苦悩し、管理者、旗振り役としても、
また
http://blog.livedoor.jp/pyridoxal_phosphate/archives/10902756.html
で書かれている様に、
"NHKスペシャルのミーティングに集った専門家たちのコメントと、自己点検検証委員会委員長の発言は、立ち直れないほどのショックだっただろう。前者は、研究者としての眼力が無いと言われたに等しく、後者によって、今後の自分の将来が無いことを痛感しただろう。"
と書かれている様に、研究者、開拓者、教導役としても、
やるせない気持ちになったことを鑑みると、
笹井氏に対して同情の念を感じ得ます。

Inoue様
いつもありがとうございます。
この話は微妙な問題がありますがもう少し書いてみるつもりです。

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