ご縁のあった人たち

無料ブログはココログ

« 自分ならどうする | トップページ | 多様性の対策について(続) »

2014年10月16日 (木)

多様性の対策について

 昨日もInoue氏よりコメントいただいた。ありがたいことである。
 さて、その中に、

文系の銀行員や公務員はどうしてもスキルが日本固有なものになりがちで、言葉の壁もあって転職先は日本。一方、技術には国境がありませんので、技術者の海外への転職が目に付くようになったのではないか。
最近、「女性活用」と言われていますが、「女性を活用できないこと」と「エンジニアを活用できないこと」には根っこに同じような問題があると感じています。

と言う項目があった。この件に関しては、私自身色々と経験があるので、もう少しここで書いてみたい。まず私の仕事の変遷を書いておく。最初は、修士の情報系のエンジニアとして就職し、マイクロプロセッサの応用ソフトの開発が中心業務であった。これで15年ほどした後、技術者教育と言うことで、総務部門に異動し、研修畑で15年ほど、その間に種々のスタッフ業務も経験し、最後は関連会社に出向転籍して、一部門の管理職として会社生活を終えた。つまり、技術者として若い時期を過ごし、最後は人事総務部門と言う、事務屋の世界で会社生活を終えた。
 なお、学生時代のテーマが工学部でありながら、人工知能であったので、認知科学などの分野にも結構首を突っ込んでいる。自然言語処理にも関消したので、言語学なども少しは理解している。特に、一般意味論は学生時代から、かなり読んでいる。その他カウンセリングの話なども少しは勉強した。この足場があるので、上記テーマに関して、少しは議論ができると思う。

 まず、女性活用とエンジニア活用の問題であるが、どちらも従来的日本社会において異分子である、と言う観点では同じ問題である。この原因には、色々な側面があるが、私は日本文化の高度文脈依存と言うことを、一つ挙げておきたい。これは日本語の特性もあるが、基本的には共有感覚を信じる、日本文化と言うべきではないかと思う。例えば、俳句や短歌の短詩文学の成立は、省略してもわかりあえる、共有したものがあるからである。さらに、手紙などでも時候の挨拶から始める。これも、季節感の共有をお互いに伝える儀式である。
 そして、企業においても、技術分野だけでない、人財育成面や、経営判断なども含めて、多くの文脈情報がある。この共有情報は、明示されないことが多い。明示されない情報をを、野中たちは、『暗黙知』と称している。
 さて、ここで前から話の出ている、『レント』についても、少し議論しておきたい。レントと言う言葉にも、色々な解釈があるが、私個人としては、この語源の「レント=地代:不労所得」と言う図式に注意している。経済経営の分野では、もっとしっかりした定義で、このニュアンスが消えているだろう。しかし、ラベルは、定義を越えた、影響力を持つのは、科学哲学の中でラカントシュなどが指摘している。
 ここで、なぜレントを持ち出したかと言うと、企業の「レント」は、上記の暗黙的文脈情報に隠されていることが多いからである。つまり、その情報を使える人間だけが、他の人間に優位に立てるものである。このような「レント」の存在が、企業の競争力でもある。
 但し、この暗黙情報は、使いこなさないと意味がない。就社しても、その会社の文明を体得し、使いこなさないと実力発揮できないのである。
 その伝承を、受けずに実力を発揮する人間も、稀にいる。これが、上記の技術者や女性と言う話である。但し、多くの人間は、この道具に乗らないと、うまく仕事が出来ないのも事実である。
 まだ話は続くが、とりあえずここで一区切りとする。

« 自分ならどうする | トップページ | 多様性の対策について(続) »

コメント

Burt, R.S.「競争の社会的構造」より
http://yokot.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/burt_rs_36c8.html
"スモールワールドは世界を広げ、ネットワーク全体の付加価値を高めるという点に関心があるとすると、本書の観点はゼロサムゲームである。産業の中で利益(レント)をどのように分け合うか、組織内で誰が出世するか。

この観点の違いが、密接に結合された集団間の架け橋をする人の機能にも影響を与える。"
"企業家というものは(そもそも語源からして)他者の間に存在することから利益を生み出す人である、というのも慧眼である。空間的間隙が大きい産業は利益率が高い、空間的な間隙の大きいネットワークを持つ人は出世が早い、という分析にも迫力がある。

ちなみに、出世の研究では、女性とあまり地位の高くない男性の出世には、空間的間隙ではなく、強力にサポートしてくれる特定の相手が必要であるが、"

それと、
"Gilmour は、野中が提示した暗黙知が人から人に移転されるには時空間を共にした経験が不可欠であるという指摘し、形式知に関しても移転の仲介が「場」の仕組みとして必要であると指摘している(Gilmour, 2003)。"

http://www.bunkyo.ac.jp/faculty/gs-info/ITNL/201102/201102-1.pdf
から
"知識創造は暗黙知の結合と交換に大きく依存していて,そこでは直接の相互作用が求められる 6).暗黙知の伝達には閉鎖型ネットワークが不可欠といえるだろう."
"閉鎖型ネットワークは冗長性が高いので次第にマンネリ化し,ユニークな視点の確保が難しくなる.新奇な情報や知識をもたらす橋渡し型ネットワークを同時に構築することが必要になるとされる "

"閉鎖型なネットワークの形態は結合的次元,形成される信頼関係は関係的次元,規範や共有される文化は認知的次元である
もう一つは橋渡し型ネットワークであり,冗長性のない他者とのつながりが価値ある新しい情報をもたらすというものである.
http://www.bunkyo.ac.jp/faculty/gs-info/ITNL/201102/201102-1.pdf


「ネットワーク」(http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/151238/1/kronso_181_1_84.pdf http://www.hiroshima-u.ac.jp/upload/26/images/top/PDF/2008-01.pdf)
も重要かと。

http://d.hatena.ne.jp/jinjisoshiki/20110321/1300609281
Burtは、さまざまな研究成果を概観したうえで、次のように結論付けています。まず、サイズが小さく、階層性のない、高密度のネットワークの業績は標準以下になりうると指摘します。いわゆる「仲良しグループ」のネットワークであり、情報も冗長的で外部と遮断されており、つながっていることのメリットが少ないと言えましょう。次に、階層性のない、広範囲にわたる構造的空隙を有する(低密度な)ネットワークは、さまざまなメリットを享受し、ソーシャル・キャピタルとなりうると指摘します。こういったネットワークは、ブローカー(取次ぎ)の機会を増やし、創造性やイノベーションの源泉となりえるためです。さらに、広範囲で低密度でありながら、中心的な主体を有する階層性のあるネットワークも、メリットを享受できると指摘します。これは、とりわけネットワーク内のアウトサイダー(属性や特徴の違いから、十分に仲間に入れてもらえないマイノリティー)にとって、自分のスポンサーとなりうる主体が持つソーシャル・キャピタルのメリットを拝借することが可能になると指摘します。
が一番重要かと。

Inoue様、何時もありがとうございます。
ご指摘の内容、次項で書く予定とかなり重なっています。
ただ、そこに一ひねりいれるのが、私の付加価値でしょう。
ご指摘の資料はゆっくり読ませていただきます。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 多様性の対策について:

» 女性活用論から見えてくるもの(知の独占が崩れる話) [勉強の方法補充]
 女性の働き方に関して、日経BPのHPで、私が今まで言っていたことが出てきた。  [続きを読む]

« 自分ならどうする | トップページ | 多様性の対策について(続) »