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2014年10月10日 (金)

青色LEDに見る技術政策について

 先日の、記事に関してInoue氏から、貴重な情報を頂いた。改めて感謝したい。
 さて、今回の青色LEDに関しては、前にも書いたが、産官学の総合的な成果である。工技院の仕掛けも見事であった。この仕掛けがあったからこそ、豊田合成が比較的安価なLED供給を行い、このような照明革命までつながる展開になったと思う。
 実は、私は1996年ごろ、会社である人のボヤキを聞いたことがある。

  「今の発光素子を全て、LED化したら電力消費が大幅に減り、
  用途がもっと増えるのだが、四国の某社が高い値を言って
  少しも譲らない。これでは動きが取れない。」

 この話の、裏側に10年ほど前に、京セラの取引説明会の一こまを想い出した。

  「カメラ部門としては、今のカメラ価格を十分の一にすれば、
  自動車の各部センサーとして、今までの10倍以上の市場を
  開拓できます。従って、その方向についてくる方々を募ります。
  VA提案などどんどん出してください。」

表現の細部は忘れたが、以下の主旨であった。

 さて、ここで考えるべきことは、社会の変化にまで至る、大きな流れをコントロールするのは誰か、と言う話である。もう少し言えば、青色LEDに関しては、豊田合成を選んだ(推奨した?)通産省(当時)の行政力を、隠れた貢献者として評価すべきではないかと思う。これは、半導体全般に関する、通産省のテコ入れなどが、大きく花開いた一時期の残りかもしれない。しかし、しかるべき行政関連の人財を適切に訓練し、将来の世界像を踏まえた、指導貢献をさせる方法は、一つの考えとしてあると思う。
 ただし、上記の行政の介入や支援は、アメリカの自由主義とは、根本的に相いれないものがある。アメリカの市場主義は、各社の自由な発想を尊重する、但し市場に合わない会社は、潰れていくことを妨げない。それどころか、会社が多く潰れ、また新しい会社ができることを、新陳代謝として評価している。
 日本の行政は、戦後の復興に関しては、通産省の指導も有効に働いた。しかしバブルはじけや日米貿易摩擦などで、色々と限界も見えてきた。その一つの表れが、小泉・竹中改革であろう。これは、アメリカ主義の徹底した導入を目指したが、中途半端に終わった。

 この後、この国はどのような方向に向かうべきであろうか?私の考えでは、もう一度、人財育成を見直すべきだと思う。Inoue氏の指摘の中に、物理学重視の話がある。
 http://eufd.org/pdf/seminar/08_h251126_g.pdf
 私は、これを経営学と哲学(ジェレラルアーツ)に例えて考えている。哲学的な考えの基礎、その上に経営学的な実務、その上で技術への理解、このようなものを持った、本当の技術経営学を身につけた、総合職を多く生み出す。そして、それがネットなどを使って、議論を深めながら、この国のある姿を作っていく。このような形を一つの答えとして考えている。
 実は、大学崩壊関連で、本当の総合職・管理職の育成と言う形で、議論しようと考えていた。そこに、ノーベル賞が入ってきて、議論が膨らんでしまった。これも一つの導きかもしれない。
 http://manabizz.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-4a55.html

 なお、もう一つ余談であるが、中村氏の受賞は、彼がアメリカにいると言うことで、われわれにとって幸いかもしれない。上記のアメリカ流では、例えノーベル賞受賞者でも、その後の成果がなければ、相手にされない世界であろう。某ノーベル賞受賞者が、その後貧乏になって、講演会で泣いていたという逸話がある。日本では、ノーベル賞受賞者と言うと、それだけでその後も色々なところで、発言力を持つようになる。中村氏が、アメリカにいると言うことは、幸運なことだと思う。
 本日の朝日新聞に、田中耕一氏が、新幹線の車両について、控え目な意見を述べられていた。このような方なら、色々発現されても、良い影響が出ると思う。

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コメント

まずは通商産業省入省されていた塩沢氏(http://dndi.jp/17-shiozawa/profile_shiozawa.html)が、昔の大学生と今の大学生のコピペをめぐる考え方の相違と「実験ノートについて」(http://dndi.jp/17-shiozawa/shiozawa_108.php)、ないしは、LED照明を含む日本が世界をリードしている革新的技術についてそして研究開発について国ができること、できないこと(http://dndi.jp/17-shiozawa/shiozawa_85.php http://dndi.jp/17-shiozawa/shiozawa_86.php)について述べられています。
次に、応用物理のHPにて座談会記録の全文が公開されて(http://www.jsap.or.jp/apsp/oralhistory/)おり、赤崎氏(http://www.jsap.or.jp/apsp/oralhistory/QOBU070808.pdf)や中村氏(http://www.jsap.or.jp/apsp/oralhistory/QOBU090417.pdf)もあります。
赤崎氏が"当時の工技院に目利きの方"言われているのが、当時審査委員長をしていた田中氏であり、これも座談会(http://www.jsap.or.jp/apsp/oralhistory/QOBU070807.pdf)に掲載されており、他にも http://www.marubun.co.jp/corporate/interview/qgc18e0000007x17.html から"難しいテーマを与えて、技術者を育てられた"、そして丁度運よく"73、74年頃から層状物質を手がけ、だんだん半導体の主流から離れて、少しずつ超電導にシフト"する時期に審査委員長をおやりになられていた様です。
最後に、高橋氏(授業⇒http://www.bizsci.net/lecture/index.html)が以前、青色LEDとレント考え方について、少し難しい論文ですが、ライセンス・ビジネス概論(http://www.gbrc.jp/journal/amr/open/dlranklog.cgi?dl=AMR5-9-2.pdf)にてお書きになっているようなので、参考に及び時間が出来次第お読みになって頂けたら幸いです。
以上。

Inoue様、何時も貴重資料ありがとうございます。
高橋先生の話は、前から少し勉強したと思っていたので、この機会にゆっくり読ませていただきます。
また、田中委員長の件もありがとうございました。
STAPがらみの話は、私個人としては、この引用に出た学生の意見に近いものがあります。確かに、論文では、その人品も評価するという発想なら、先行研究の要約作成力も評価すべきでしょう。
しかし、積み重ねの評価と言う場合には、先行そのまま生かすというのもありかとは思います。
これは、私がソフトウエア業界に身を置いた経緯もあります。
ソフトの再利用では、口頭発表もした経験もありますので(笑)。
これからもよろしくお願いいたします。
再拝

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