ご縁のあった人たち

無料ブログはココログ

« 今回の選挙に関する新聞評論を見て | トップページ | 朝日新聞の報道姿勢に関して »

2014年12月22日 (月)

専門性と一般教養(信頼性技術について)

 先日、日経ビジネスの12/22号の記事を見ていたら、GEが3Dプリンターを飛行機エンジンの燃料噴射装置に使うという記事が出ていた。この技術は、加工と言う側面で考えると、生産革命と言っても過言ではない。削り出しや、金型の必要や鋳造でなく、第3の成型加工である。しかしながら、このような新技術には、信頼性の側面での不安が残る。
 今回のGEの対応は、その面でも見事である。まず、燃料噴射装置は、ジェットエンジンやタービン機構の中でも比較的環境がましな所である。つまり高速回転する羽根、しかも後ろの羽根は、燃料の爆発をもろに受けるので、高温と急冷と言う一番過酷な条件を受けることになる。しかも、ガスタービンにしろ、ジェットエンジンにしろ、運転時間は限られているので、運転休止のサイクルがある。つまり熱膨張と冷却の繰り返し、回転と休止の繰り返しがある。
 このような厳しい条件は、信頼性の試験でも、加速試験に使うようなものである。通常の使い方なら、10年持つ物がタービンの羽根なら1年などである。このような羽根では使わず、静止部分の燃料噴射機構で使う。これで実績を積んで、今後の展開を図るという発想は、戦略的に十分あると思う。第2次大戦前に、日本海軍が造船技術に電気溶接を取り入れた時も、まず負荷のかからない部分から着手していった。イギリス海軍の軍艦を当時の技術者が視察した時、居住区域を見て、まだリベットを使っているので、電気溶接は全般的に使われていないという判定をした話もある。
 さて、もう一つ信頼性の観点で、燃料噴射装置に最初に新技術を導入すると言うことは、フェイルセーフと言う大切な発想がある。つまり、燃料噴射装置が壊れれば、タービンは止まる。それ以上の破壊にはつながらない。一方、羽根なら破壊したら、どこまで壊すかわからない。このように壊れても被害最小という発想も重要である。

 このような信頼性に関する発想は、技術者なら誰でもが知っておくべき、一般教養である。信頼性の技術と言うと、統計解析の話や、故障物理の話が出てくるが、そのような専門的な突込みより、一般的な広がりがきちんとあり、その上で広く検討することが大切だと思う。

 

« 今回の選挙に関する新聞評論を見て | トップページ | 朝日新聞の報道姿勢に関して »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 専門性と一般教養(信頼性技術について):

« 今回の選挙に関する新聞評論を見て | トップページ | 朝日新聞の報道姿勢に関して »