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2015年10月13日 (火)

細部の検討は学んでも総合的な視点での調和は学べない

 先日から、ちくま学芸文庫の「レポートの組み立て方:木下是雄著」を読み直している。確かに、解りやすいレポートをしっかり書くための知識が整理されている。特に、「事実と意見の区別」を何度も強調していることは、今の日本の言語技術状況を見て、大切だと思う。
 さて、この本は大事な基礎スキルを教えてくれるが、それですべてと考えてはいけない。私が考える、この本の次に習得すべきことは、二つある。一つは、問題領域に対する、総合的な見方である。もう一つは、新しい考えを論文にするための、仮説設定とその検証法の考え方である。また、これに関連して、ネット時代での情報検索の容易さを考慮して、賛否の両面からの情報収集も、大切な課題だと思う。このためには、情報の評価能力が必要になる。
 ただし、情報の評価能力の基本は、ある絞った範囲での情報収集をし、その上でレポートを書くと言う経験で身につくものが大きい。これは、「レポートの組み立て方」に書いてあることを、きちんと実行すればよい。今回の議論は、そのような基礎的な力がついた上での、総合的な視野を持った、論文やレポートの作成についてである。

 さて、「レポートの組み立て方」は、大学などでの課題としてのレポートを考えている。そして学生が、課題を貰って最初にすることは、課題の絞り込みである。例えば、先生から「マス・メディアについて」という課題を貰っても、それだけでは漠然としている。そこで、マス・メディアでもどの媒体にするか、どのような観点で何を調べるのか、これを教官の指導を受けながら自分で考える。例えば「マス・メディアに対するニュース統制」などである。このようなテーマの絞り込みが、レポートの最初の関門である。
 ここで大切なことは、どのように絞り込むかということで、作成者の価値観や、その分野の理解度が解るということである。実は、会社でも昇格などの時、レポートや提言書、論文といったものを書かせることがある。そこでも「自職場の課題とその解決」などと言う、漠然としたテーマが与えられる。そこで、作成者は自分蟻に考えて、副題をつける。例えば、「女性社員の活用のための業務引き継ぎ可能性」等である。評価する側では、まずこの副題を見る。そして、会社経営の立場や上司の立場で、本当に必要な課題に取り組んでいるかを評価する。極端な話、副題が不適切なら、それから先は読んでもらえないということもある。このように、テーマの絞り込みは重要であるが、学生が先生に評価を受けるという立場では、この点が書き流してある。

 さて、実社会に出れば、お客様に提案などする時も、相手が大切と思っていることに対して、きちんと提案しないといけない。これは、論文の主題の絞り込みでも同じである。これを行うためには、全体像を自分で描くことから始める。「レポートの組み立て方」にも、「集めたカード情報からKJ法的に発想する」と言う話があったが、バラバラの情報を集めて、全体的な配置を考えることは、重要性を考えるために有効な手段である。更に、そのような全体像の案ができれば、その上で思考実験的に、典型的な動作を試みてみる。動きを試みると、不足しているものが見えてくる。そこで追加していく。このような作業が収束してくると、何となく納得した全体像を描くことができる。

 そし全体像が見えてくると、どこが主要な部分であるかが見えてくる。但し、これができるようになる前に、個別の検討がきちんとできる知kらを身につけて置くことが、必要条件である。このように考えると、「レポートの組み立て方」は、大学初年級の教材としては良いものだと思う。

 

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