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2015年11月 6日 (金)

日本の大学教育について

 先日からの話と関連して、ちくま学芸文庫の「レポートの組み立て方:木下是雄著」を読み返してみた。確かに、レポート作成の指針としてはよくできている。
 しかし、この本の内容が、大学の標準と言うと少し寒い気がする。
 まず一つ目の不満は、「事実と意見の分離」をこの段階で教えないといけないという現実である。司法試験合格者に教えるよりはましかもしれないが、もっと早く教えて欲しいものである。
 次の不満は、事実を収集するという姿勢である。これは、一見善さそうではあるが、
  「自分の主張にあった事実を収集する」
と言う姿勢がる限り、危険なものと言うべきであろう。
 ヴェーバーの言う
 「事実をして語らしめると言う姿勢は不誠実なものである。」
と言う言葉は、日本の学界では通用しないのかと悲しくなる。そして、マスメディアの対応もそのようになっていく。朝日新聞のように、捏造まで行くと、攻撃されるが、自分に都合の良い事実だけしか載せないと言う新聞などは、色々ありそうである。
 これが、上記の
  「自分の主張にあった事実をだけ収集する」
と言う姿勢から生まれたのなら、教育効果は大きすぎる。
 科学哲学で言う、反証の重要性をきちんと教えて欲しいものである。

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コメント

取り上げて頂きありがとうございます。
正体不明さまが考えていらっしゃる事柄は、木下是雄氏の意見や討論会の論文
・意見
前向き・後向きの姿勢と幼稚園・小学校、大学・大学院での一連の教育
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002067119
大・高・中・小と逆順の記述と教育との関係
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007489213
受信型教育と発信型教育
http://ci.nii.ac.jp/naid/110003774873
学習効率の良さと少ない労力ですむという利点がある故に開拓・探究する力はつかないという欠点
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007495414
・討論会
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002070066
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007486645
を読む限り、どうも木下氏も考えていらっしゃったようです。

Inoue様、何時もありがとうございます。
木下是雄元学習院大学学長の『言語技術の会』の活動などを参考に、今までの話の一部は書いています。
従って、木下是雄氏個人の問題ではなく、大学の学生向けの一般教育書として、この本が書かれたことが問題なのです。著者後書きにもありましたが、なんで物理の先生が文系の論文レポートを指導するのだ!
これが、言いたかったことですね。
なお、朝日選書の実践・言語技術入門は、学習院の先生も著者に加わっていますが、国語の先生がいないようです。(笑)

木下是雄氏との話し合い
http://pj.ninjal.ac.jp/archives/jalic/group5/96.7p85.pdf
では触れられていませんが、
http://nakai.2-d.jp/2010/07/15/254.html
にあるように、
"国語科は文学偏重でその任を果たしていない。したがって、理科系の研究者である彼が、自ら言語教育に乗り出したのである。
木下は、その問題意識を共有する学習院の小学校から大学までの先生方(国語科・国文学、文系だけではなく教科横断)と「学習院言語技術の会」を組織し、小学校から高校までの一貫した言語教育の教科書を作った。"
ですし、
"これらを通読して、私は強い感動を覚えた。ここには、中学生、高校生に必要なあらゆる言語活動が網羅されているのではないか。これにネット社会に必要な技術を追加すれば、現代でも十分に通用する。否、今もこれを越えるレベルの教科書は生まれていないのではないか。
。木下氏たちが取り組もうとした課題の大きさ、その困難さをも、しっかりと受け止めたいものだ。これだけの教科書を用意した学習院で、このテキストは実際にはどう扱われてきたのか。経過を省き、現状だけを述べれば、それは全教科での一貫した言語教育にはほど遠い。テキストは小学校、中学、高校で全生徒に配布されてはいるものの、高校ではその授業は行われておらず、中学でも一部の生成方が使用するだけだ。これだけの努力を傾注した学習院ですらそうなのだ。そこにそびえる壁の大きさが推測できよう。
教科書編纂に関わったある先生は、「このテキストを使用した教育は、学習院よりも、他で行われ、そこで深化されているのかも知れません」という。
"
のようですので。

Inoue様、何時もありがとうございます。
私も、木下是雄著作には、『物理の散歩道』からお世話になっている身ですので、彼の日本語言語技術に関する貢献はある程度理解しています。
そして本当に責める相手は、「文学青年崩れの『官製感動』で採点する国語教育」です。
しかし、レポートの組み立て方」は名著であるだけに不満があるので、このような記事を書きました。確かに学習院~~に関しては、さる貴いお方がICUを選び直されたことが、一つの象徴かもしれません。ICUは村上陽一郎の科学哲学などがしっかりしていますから。

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