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2018年5月 4日 (金)

少年犯罪者の更生について(ミルズならどうする)

 少年犯罪者の更生に関して、少し気になるニュースがあったので忘れないうちに書いておく。一つは、神戸の連続殺傷事件の犯人である「少年A」から被害者家族への手紙が今年は来なかった、という記事である。この件に関しては、彼の著書が出版されたときから、色々な議論があるが、私の結論は
 「医療少年院の対応不十分」
である。これは彼の本の中に、「形ばかりの反省で関係者が満足している」という記述が一つの根拠になっている。
 しかし、今回は別の良い成果について見せてもらうことができた。
 アイドルの戦慄かなのさんの体験記である。
 「少年院に入ってから、第2の非行というか、反抗期みたいな感じて、けっこう問題を起こしていました。でもそれは子ども返りみたいなもので、甘えの欲求だったと思います。先生は本当に第2のお母さんみたいで、親に愛されてこなかったのが、少年院ですべて補われた感じがあるんですよね」         

 先生の尽力もあり、手負いの獣のように荒れ狂い、「私は変わらない」と息巻いていた戦慄さんの心は次第に静まっていった。

このような指導という言葉では不十分な、関係者の指導で彼女は今、アイドルとして大学生として、新しい道を生きている。
 このような成功例に関しても、きちんと理解したうえで、少年犯罪者の更生に関して議論すべきだと思う。

 さて、私が考える、成功失敗の違いはどこにあるのだろう。少年院の担当者自身のスキルというようなものにも、一つの要因はあると思う。また、戦慄かなのさん自身の、個人的な資質もよい方に動いたと思う。しかし、根本的には、現在の精神医療の限界があるように思う。

 実は精神医療に関して、アメリカの社会学者C.ライト.ミルズが、鋭い指摘をしている。ちくま学芸文庫の「社会学的想像力:伊奈.中村訳」の第8章第4節、第5節に、心理学に関する議論がある。彼の主張は、

ある個人の生活は、個人史が生きられる制度との関係なしに適切に理解することはできない。

人の個人史と性格は単に生活圏という観点だけでは理解できないし、また幼い時期ー幼児期と子ども期ーの環境という観点をとっても完全には理解できないのは確かである。適切な理解のためには、これらの内部的環境と広範な構造的枠組みとの相互作用を把握する必要があり、この枠組みの変容と、それが生活圏に及ぼす影響を考慮する必要がある。

という風に、フロイトの精神分析でいう、個人の体験を超え、社会的な影響まで踏まえて、人間の行動を理解するべきということである。社会の問題、個人の生育の問題(家族の問題)そして、個人の体質(脳内構造)などの問題、これらが相互作用している。この相互作用に正面から向き合えというのが、ミルズの主張である。

 確かに現在の状況を見ると、医療関係者はまず患者の体を診る。そこでも特定の臓器に原因を見出そうとする。一方、社会学者などは、社会の構造などに原因を見出そうとする。しかし、犯罪者の更生治療などには、色々な面からの対処が必要ではないかと思う。

 戦慄かなのさんは、これから大学で学ばれると思うが、その時に広い教養を身に着けて、本来の問題解決に役立ててほしいと思う。

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