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2019年6月 9日 (日)

「歴史と道徳哲学」を教える社会は?

 先ほど書いた記事の、歴史が支配に利用されている、極端な事例というか、思考実験を思い出した。ハイラインの「宇宙の戦士」が描く世界である。以下ネタバレをご了承願う。

https://ja.wikipedia.org/wiki/宇宙の戦士

 この世界は、大きな思考実験として、

「選挙権を持つ市民は、軍人経験者に限る」

という世界を考えている。

 さらに、軍人退役者を学校教育現場に派遣し、

「歴史と道徳哲学」

を教育するという世界である。また、軍人の士官候補生の教育には、

「歴史と道徳哲学を教え、それを論理的に説明できる力をつける。」

ということまで行っている。

 ここまでくると、歴史を政治の道具化するときの完全な形が見えてくる。但しこれから先の制度的な進歩が見えないだろう。

 もう一つ踏み込むと、軍隊というのは、ある意味では、均質な人材の世界である。少なくともついていけない人間を、排除する世界である。

 「衆愚政治を避けるために、政治参加者を選択する。」
「これが本当に良いことか、悪いならその理由は何か?」

これにきちんと答えることができる人は、どれほどいるだろう?

 実は、アメリカのSFでは、これより少し前に、E.E.スミスが「レンズマンシリーズ」でこれに答えている。このシリーズで宇宙の守護者である、アリシア人が二つの発言をしている。

「世の中に絶対の善も絶対の悪もない。ただ『最大多数の最大幸福』だけは守らないといけない」

「一つも犯罪が起こらないような世界にすることはできるが、その世界は進歩がない。」

これが一つの答えだと思う。アメリカのSF界に関して、我が国でもハインラインの方が思想的になモノがあり、スペースオペラのスミスは低く見る向きがある。しかし、レンズマンシリーズのアリシア人に関して考えると、かなり深いものがあると思う。

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