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2020年1月31日 (金)

いわゆる『秘伝』の扱いについて

 昨日書いた、『情報の独占による権威維持』という問題について、もう少し議論を深める。今回議論するのは、武道などの『秘伝』の使いである。実は、武道の『秘伝の技』の伝え方には、大きく分けて二種類ある。一つは、初心者の習う技のなかにも、極意技が隠されている。ただし、その解釈が伝わっていない。この解釈は教わる場合もあるし、自分で掴んだことを師に示し、確認を得る場合もある。一方、技自体が完全に隠蔽されていて、伝授されないとわからないモノもある。

 前者の例では、例えば剛柔流空手の入門で習う、撃砕という型には、相手の突きを受けて、中段蹴りを入れ、肘打ちをして、裏拳を打ち込み、払って中段突きを入れる動きがある。この技にも必殺という側面が隠されている。詳しく書かないが、空手の個人鍛錬器具には、中段受けの形から、相手の手を掴み、引きずりながら肘当てをする、このような道具で繰り返し鍛錬していることからも想像してほしい。単に受けるというのではなく、相手の手をつかみ攻撃する。これは、ボクシングなどでは反則だが、相手を倒すためには有効な手段である。しかし、単に受ける動作が、受けながら摩擦を上手に使って、相手の手を引き込むようにできるには、それなりの修練が必要である。そのように個人の鍛錬が、きちんとできたときに、この型の本当の意味がわかってくる。こうした意味は、準備ができていないときに知れば、かえって基礎鍛錬をおろそかにしてしまう。

 一方、後者の隠し技的なモノは、なかなか公開されていないが、柳生心眼流の小太刀の、左右遣いなどがあるだろう。右手で切りつけて、躱されたら、小太刀を体の後ろに回して、左手に持ち替えて左半身からの攻撃を行う。相手は右手を想定しているので、不意打ちの効果がある。しかし、これは知っている人間には通用しない。これは、隠していることの効果である。

 一般に、一つのアイデアだけに頼っているモノは、それが見えると、多くの人にまねされてしまう。従って必死で隠そうとする。太平洋戦争の敗戦後、アメリカは日本の潜水空母(爆撃機を搭載できる大型空母)を全て、と言っても二隻だが確保し、研究し沈めてしまった。これを、日本の技術が高いから、アメリカが勉強したという人もいるが、私は

「アイデアが漏れればまねされる」

ことを恐れたのだと思う。残念ながら、日本の潜水艦の工作技術は、ドイツやアメリカには劣っていた。そこから学ぶべきモノは少なかったが、

「大型潜水艦を作り実用的な爆撃機を載せる」

と言うアイデアが、ソ連に渡ることは、アメリカは避けたかったと思う。

 現在は、ネット社会であり、先ほど書いたように『秘術』も、どこかで情報漏れを起こしてしまう。

 しかし、基本的な技やスキルが身についていないと、使いこなせない技は、極意習得として差別化できる。この点をもう少し考えるべきだと思う。 

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