日経BPの記事に、
「失敗を恐れない」 元宇宙飛行士が語るスペースXのスゴさ(上):日経ビジネス電子版 (nikkei.com)
があった。興味深い議論だがその中で
スペースXは、人命に影響があるなどの致命的な結果を招かない限り、たとえ大きなリスクであったとしても積極的に取ります。これも開発のスピードを速めた要因だと思います。
~一部略~
もちろん、何でも無謀にやっていいわけではないですが、コストも実は、実際にやってみて失敗したほうが安くつく場合が多いのです。
というのも、失敗を恐れて実験をしなければ、同じ問題を解決するのにもっと長い年月がかかってしまいます。高給で優秀な技術者を長期間、雇い続けなければなりません。でも失敗をしてそこから学べば、結論に早くたどり着けます。失敗は、それほど数多くの知見を技術者に与えてくれるものなのです。
と言う部分について、もう少し突っ込んでいきたい。
この記事が言いたいのは
「日本の組織は、失敗を恐れてチャレンジしないから開発スピードが遅い」
と言うことだが、スペースXの開発においては
「有能な人材を抱え込む費用を最適化するには、短期で結果を出すべきであり、失敗でもかまわない」
と言う発想がある。これをもう少し突っ込むと
「アメリカでは人件費は変動費、日本では固定費」
と言う観点がある。つまり、アメリカの場合、有能な人財でも有期契約で切っているので、できるだけ契約期間を短くして、早期に結果を出す、と言う発想がある。
一方、日本の場合には、長期雇用契約の正社員に仕事をさせる場合には、
「どのみち人件費は発生するから、しっかり検討して失敗しないようにしよう」
と言う発想がある。この観点で、日米比較を行ったら、もう少し見えてくると思う。
なお、スペースX的な管理には、もう一つ大事な発想がある。
「有能な人財を悩ませる時間がもったいない。失敗でも実行したら早く決着がつく。」
と言う、『仕事の上での悩み』に対する配慮である。これは開発管理の上で大切だと思う。
一方、日本的な管理には
「時間をかけて人材を育てる」
と言う発想がある。これは、長期雇用の安定の上での能力開発のメリットだと思う。
両者の善いとこ取りとして、老舗和菓子店の「たねや」の経営手法も面白い。「たねや」では、色々な新製品が出てくる。この発想は
「一勝九敗」
という感じで、若い力にチャレンジさせ、そのうち生き残ったモノを製品として残していく。こうして
「チャレンジさせながら、人材育成も行う。そのために、芯となる製品でしっかり稼ぐ。」
発想が、長年生き延びた老舗の智慧だと思う。
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