歴史小説等で、持て囃されるのは、「桶狭間の戦い」や「鵯越の逆落とし」等の、奇襲成功のパターンが多い。相手に対し、圧倒的に劣勢な兵力が、有能な指導者に従って、相手の予想を裏切って、不意打ちで勝利することは、話しとしては面白いと思う。
しかし、戦術の検討としては、奇襲に関して重点を置きすぎるのは、余りにも危険だと思う。フラーの戦術論では、
目標の原則 - 目標の明確化と一貫性の原則。
統一の原則 - 部隊の指揮統制の一元性を保持する原則。
主導の原則 - 先動・先制によって戦闘の主導権を確保する原則。
集中の原則 - 敵弱点への味方戦力を一点集中する原則。
奇襲の原則 - 意外性を伴う行動を行う原則。
機動の原則 - 機動の先制する原則。
経済の原則 - 戦力の徹底節約する原則。
簡明の原則 - 目標・計画・行動の簡明さを保つ原則。
警戒の原則 - 敵への準備・即応対処を準備する原則。
と、奇襲以外にも色々な要素がある。特に指導者は、
「できる限り相手側より強い戦力を集めて、相手の弱点に集中攻撃を行う。」
「自分の弱点に対しても必要な防御措置を行い、自軍の損害を最小にする。」
等の正攻法の準備が必要である。奇襲の効果は、確かにあるが、失敗した場合の被害も大きい。しかも奇襲を前提の場合には、補給などの長期的な対策がおろそかになる場合が多い。
経営者の教育に、奇襲重視の戦術論を使うときは、このような弊害も良く考えて欲しい。新技術によるイノベーションも、奇襲にせずに正攻法で成果を持続させる方法を考えるべきである。
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